映画「コカイン・ベア」粉まみれのクマが人間をちぎる

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ラりかたによってキュートだったり獰猛だったりするモンスターパニック映画。どちらかというと人間側の行動の方が頭がおかしい。頭を空っぽにして楽しめる作品。ストーリーをおさらいしつつ気になった点をまとめてみたいと思います。

クマがヤクキメて襲るあらすじ(ネタバレ)

突然飛行機から荷物を投げて飛び降りる男。頭をぶつけ墜落。何が起こったのか分からない。一転、のどかな山川。1985年のテロップ。そしてバタくさい登山ファッションのカップル。結婚式の段取りを話しつつ登った丘から見えるのはクマ。向かいの丘で背中を木にこすりつける様子を望遠カメラのファインダーから覗く。マーキングか?温厚なジョージア州のクマは縄張り意識を持たない。そういう知識を知ってか知らずかカップルの男は訝しく思う。一方、女の方は楽しくクマを見ている。ふと目を離すとクマが見えない。もう同じ丘まで接近していたのだ。カップル逃げるも、ちぎれた腕が画面外から飛び出す。コカイン・ベアである。この時点でクマとコカインの因果関係は明らかにされていない。

テレビに転落死した男のニュースが流れている。当時のアメリカにおけるイオンモールのような幼児向けのボールプールにガタイの良い黒人男性を呼び出されていた。ギャングのボスは孫を預かっている。息子は妻を亡くして傷心中であった。ボスからの命令は彼と消失したコカインを回収することであった。早速彼をバーに呼び出し、なだめ、山に向かう。このギャングたち、麻薬王を名乗っておきながらアットホームなのか機密保持意識が低いのか。こんなペースで、これから山に入る人のストーリーが展開される。

中学生男女ペアは学校をサボって絵を描きに入山。そのころ無断欠席の連絡を母が受け取っていた。
ギャングの情報を聞きつけ、犬の世話を新人警官に押し付けて山に向かう刑事。
山在住のヤンキーや中年の警備員おばさん、自然派おじさん。ヤンキーは山小屋の菓子を万引きしようとしておばさん警備員にバレたうえに、無視されて自然派おじさんに色目を使うシーンの傍に立たせられる情けない役回りだ。

そろそろクマが恋しくなったところで、ヤンキーが仲間を連れて黒人男性に接触、カツアゲ、返り討ち。コカインの情報を手に入れヤンキー一人に案内させることに。
一方、男女中学生ペアは案内板の近くに白い粉の包みを発見。味見をして吐き出す。状況的に限りなくコカインだが現状ただの白い粉なのでコンプラ的にはセーフ。しかし、クマがやってきて包みにかじりつく。ついにコカイン・ベア成立。果たして子供たちは無事なのか。

女子中学生の母は「バービー」でも見なかったピンク一色のジャージで山小屋へ。おばさんおじさんと登山道を歩く。木に登っている男子中学生を発見。女子中学生の姿は見えない。するとコカイン・ベア登場。おばさんに一撃を食らわせ、中学生の木に登りだす。クマは木に登るのだ。そしてその説明をしているおじさんも愚かしく木に登っていた。作中では明確に説明されていないがクマだけでなく人間もコカインで狂っているんじゃないのか。クマはよりコカインの成分が強いおじさんに標的を変更し、ようやく二回目の捕食シーン。

ここからは期待通りリラックスタイムを挟みながらコカインベアがコカインに引き寄せられつつヒトを襲う話になるのは明らかなので読み飛ばしてもいいです。

テンションが上がったところで、コカイン回収チームの和やかなハイキング。ヤンキーと傷心の息子は打ち解けていた。一方、おばさんは山小屋に避難。そこには返り討ちにされて放置されていた方のヤンキーたちが救急車を待っていた。なんとおばさんは自分で通報をしていない。状況が伝達されないまま山小屋に集まった怪我人3人。何かの気配に気づきドアを開けるとそこにはおすわりをしているコカイン・ベアが。乳が膨らんでいたのでどうやらメスの熊だ。おばさんは相変わらずピストルを撃つとき目をつぶっている。果たしてどうなるのか。

そのころ、女子中学生の母と男子中学生は山を歩いていた。女子中学生は道しるべを残していたのだ。そして刑事も山に到着。惨劇の形跡に気づかず遠目に見た「留守中」の看板で山小屋を通り過ぎてしまう。一方、救急隊員は山小屋に入ってしまい、瀕死のおばさんに足を引っ張られたうえカーチェイスもむなしくやられてしまうのだった。

コカイン回収チームは刑事にコカインを横取りされていた。なんで後に来た方が追いついてるんだよ。両方ともピストルを持っているので膠着状態に。そこにやってくるコカインベア。キメすぎたのか息子の上で急に昼寝タイム。コカインをばらまいてクマを遠ざけることに成功したが、新人警官とギャングのボスが到着。人間同士の争いはギャング側が有利となったが、コカインを可能な限り回収するかクマから逃げるかで亀裂が走るのであった。

女子中学生救出チームは冒頭の生き残りの助けもあり女子中学生を発見。しかしそこはコカインまみれの子グマが留守番をするクマの家だった。タイミングよく入り口で待っていた生き残りの断末魔が聞こえたので奥へ進むと滝の裏に繋がっていた。行き止まりである。そこへやってくるコカイン回収ギャング。そしてコカイン・ベア。しかし、コカイン・ベアが親子だと確定したのでコカイン・ベアを殺そうとすると悪役になってしまうぞ。

逃げる面々をよそにコカインをあきらめきれないボスはコカイン・ベアを撃ち殺す。しかしコカインの力で復活したコカイン・ベアの逆転勝利。一方、滝から飛び降りて逃げ延びた登場人物たち。女子中学生救出チームはチャリで帰り、コカイン回収チームは新人警官が連れていた刑事の犬を譲り受け、車で帰るのだった。コカイン・ベア親子は山でのどかにくらしましたとさ。

クマかわいい人間おろかコカインのせいなのか

とにかくコカインの力でクマもヒトもどんな行動をしても納得してしまうところが卑怯。
クマはコカインに惹かれながらときに和んでときにヒトを襲う。かわいい動きのシーンもあればかっこよくヒトを襲うシーンもあって飽きない。それでいて、コカインに誘引されるというルールもあるので納得感もある。
その部分はヒトにも当てはまる。行動が全体的に愚かなのだがコカインを吸入していたということで説明がつく。つかないシーンも多いが。

時間差で発覚するクマパニック

コカインの概念がキャラクターの行動に理由をつけるようにストーリーを振り返ると計算高い部分が思い浮かぶ。物語はA.中学生救出 B.コカイン回収 C.怪我人 の3つのグループで整理できる。

おおまかに、中学生チームは(中学生男女)→(中学生男・母・おばさん・おじさん)→(中学生男・母)→…。コカインチームは(黒人・息子)→(黒人・息子・案内ヤンキー)→(黒人・息子・案内ヤンキー・刑事)→…。怪我人は(居残りヤンキー)→(居残りヤンキー・おばさん)→(居残りヤンキー・おばさん・救急隊員)、というキャラクターの出入りである。それぞれタイミングを微妙にずらしてクマの存在を知るのでキャラクターの危機感が一本調子にならずに飽きが来ない。

コカイン・ベアを見る基準

ストーリーはメリハリがあって面白いですが、あまりためになる感じではありません。親子関係の対比とか考える余地はありますが、あまり考えずに楽しむ方が向いていると思います。

その他、細かい点
・クマが急に出てきて血やちぎれた手足が飛び出すような話です。
・クマ自体は瞳がつぶらで可愛めなのでそこで興が乗るか分かれる。
・序盤のクマが出てくるまでのタメがあるので気が短い人にはお勧めできない。
・日本版のチラシなどでは虹色っぽいドラッギーなイメージがあるが、本編にはラリッた映像表現は出てこない。
・明言されていないが状況的に子供がコカインを口にしているので子供向けではない。
・後半は夜のシーンなので自宅で観るときはよく見えないかも。

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