映画バービー感想。おもちゃの世界と違和感を持つおもちゃ達、果たしてジェンダーなのか

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この映画、おもちゃの世界を描いた映画としても完成度は高い。ただ、想像以上にイケメンパラダイスだったり、ネットの胡乱な二次創作漫画みたいなシーンもあって求めていたものと違う。そこが心に変な刺さり方をした映画。

オモチャらしいテクスチャがスキ

ネットで炎上していたので多少敬遠する気持ちがあったがポスターとかのおもちゃっぽさにワクワクが抑えられなかった今作。

冒頭はバービーランドの日常が描かれてるんだけど、プラスチックっぽい質感や荒い布擦れの音が音がかなり(バービーたちは人間が演じているのに)玩具そのものが動いている感じがしてオモチャ好きの心を奪う。割とすぐに人間世界に行くからそこまでバービーランドには浸れないのだが。

強すぎジェンダー風味が巻き起こすカオス

ストーリーは全体的にツイッター等で、サザエさんドラえもんちびまる子ちゃんクレヨンしんちゃんあたりに自分の日常の本音を言わせるような質感。日本人でネットに入り浸っているような類にはかなり食傷気味。男性論女性論として全方位を中傷しているような気配りは、バランス感覚のアピールだと思うが、バズり狙いのそれとかなり近くてさらに萎える。

しかし、やり口は単純に両性の社会的立ち位置を逆転させたものではなくてどこかエンタメを高めるようにしている気がする。ケンダムは社会的立ち位置が逆転したような世界を一度再逆転した世界で正直ややこしい。そのおかげで、拉致して洗脳したり選挙にいけなくするとかを片方の性別の性質と思わせない(そういう偏見があると思われない)ようにして登場人物に面白い行動を選択できるようにできている。専門の人はそこに作品の中にある恣意性とか探してみると面白いかも。さておき、中盤の終わりごろケンたちが争い合うシーンは楽しかったしケンたちも楽しそうだった。それが言いたい。吹き替えのケンたちの声が良いって話だったので少し期待してたけど、内容のドロドロ感に反してワイワイしてたのでスカッとした。ケンたちは社会を支配するのではなく、騎馬戦がやりたかったんじゃないか?ちなみに字幕の方は俳優のミュージカルの上手さが出ていたとのこと。

社会がバービーランドに見える

なんかここまで批判の要素が強いな。自分は、冒頭でバービーがうっかり死にたいと言ったとき他のバービーからドン引きされたときとても感情移入した。今の社会ってポジティブであることを強制されてバービーランドみたいだなぁ、と。そこから先の掘り下げは映画と自分の方向とは少し違ってしまって裏切られた気持ちも強い。しかし、マイノリティが異世界を冒険して、戻ってきたら社会を扇動し、民主主義を冒涜し、自分の世界よりまだ自由度のある異世界に戻る。そういう話としてみれば割と王道の物語だったのかもしれない。同時に異世界に出た人物が元の世界を革命したと言えるししなかったと言える。はっきりしない感じが好みでした。

まとめ

  • よくできたオモチャの世界
  • 予想外なイケメンパラダイス
  • ジェンダーコメディ要素がメイン
  • 話の骨子は王道

あらすじメモ(読み飛ばし可)

バービーの成り立ちを2001年宇宙の旅のパロディーで説明したものから始まる。バービーランドはバービーシリーズの玩具が暮らす世界であり、バービーらが働き、遊ぶことが繰り返されている。なぜなら、バービーランドは人間世界でのバービーシリーズを使った遊びが集合合体した世界だからだ。

ある日主人公のバービーは希死観念を覚え、ハイヒールが履きにくい体になってしまう。解決策を知るために破壊的な遊び方をされてしまったヘンテコバービーに人間世界に行き、自分の持ち主の人間と会うことを教えてもらう。

バービーはボーイフレンド役のケンと人間世界に行く。バービー及びケンはバービーランドと人間世界のギャップを知る。男が働き、頼られ、女が容姿をからかわれ、老婆が居る点などが異なった。

バービーは持ち主らしき少女を見つけるも、バービーが女性に対する抑圧の象徴である点を咎められる。一方ケンはアメ車や馬に心を奪われていた。その後バービーはバービー本社へ行く。等身大の陳列箱に収まると解決すると提案されるも逃亡。途中、謎の家事をしている老婆に出会う。少女の母の協力でバービーランドへ帰還。道中、バービーの持ち主は少女の母であり、彼女がメンタルにダメージを負ったバービーを考えた事が今のバービーに至る原因であることが発覚する。

バービーランドにもどるとそこはケンダムであった。先に戻っていたケンが人間世界の様子を広め、それが流行った世界に変わっていた。車が大きくなり、家具がカウボーイチックに、他バービーたちは皆ウェイターをしていた。ケンたちは自由に活躍できることに喜び、他バービーたちはウェイターをしている方が楽だという。その結果、人間世界ではケンや大きなグッズが売れていた。

ケンたちは選挙によってバービーランド憲法を変えようとしていたのでバービー及びバービーの持ち主親子は阻止するべく動き出す。ヘンテコバービー及び廃盤バービーのからアイデアをもらい対策を考える。他バービーをケンから引き離し、バービーランドのバービー的な思想に引き戻す。ひと通り味方のバービーを増やしたのでケンたちの分離工作に着手する。キャンプファイヤーで他のケンになびくふりをすると、ケンたちの間でイケメンダンスバトル及び騎馬戦が始まった。その間にバービー達だけで選挙を終わらせて一件落着。

比較的元の世界に、ケンの参政権を認めるような感じを残しつつ戻りつつあるバービーランド。主人公バービーはケンと煮えきらない距離感をたもつ。人間世界からバービー本社の役員が来るが何をしていたか覚えていない。バービー本社で会った老婆もいた。老婆はバービーの創設者かその霊であった。老婆はバービーに人間として暮らす道も示す。数年後、バービーは人間世界で暮らしていた。最後に行ってたのって産婦人科だったっけ?

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