ウルリケ・オッティンガー ベルリン三部作『アル中女の肖像』『フリーク・オルランド』『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』観た

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大業な服を着て短時間のだしものをつづけて流すような小さなサーカスのようなものが好きで、その影をずっと追っている。予告編がそういうものに近かったのでウルリケ・オッティンガー ベルリン三部作として上映されていた『アル中女の肖像』『フリーク・オルランド』『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』を観た。どれも総じて意味不明ではあったが分かりやすさは全然違った。

まず、もっとも分かりにくかったのは『フリーク・オルランド』。何らかのストーリーがあることは分かるものの、それが全くつかめない。どうやら5つのストーリーが立て続けに流れていたらしい。ストーリーごとに同じ役者が違う役で出ていたり同じ姿ででていたりしたので、つなぎ目が分からなかった。しかもシーンはどれも常識外れなのでなく癖に意味深。頭が痛かった。

『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』は、細かいメタファー自体はよく分からなかったけど青年が誘惑されるというあらすじ自体はとても分かりやすい。変なシーンと変じゃないシーン、見た目は変だけど意味は分かるシーンどれもメリハリが聞いてて精神的な負担はとても少なかった。

『アル中女の肖像』はずーっと変なことしてるけど、ずーっと酒を飲んでいる所は一貫していて「ああ、女が酒を飲んでるんだな」という所は常に納得していた。よくよく考えると全く状況が呑み込めていなかったのだが。

3作の中では『アル中女~』が一番オススメできます。分かった感のマジックを差し引いても一番シチュエーションを受け入れられるうえに、密度が一番濃ゆかった。ただ、『フリーク・オルランド』のインダストリアルらしさは際立ってたし、一度見てからリベンジしたくなる感覚はかなり強い。『タブロイド~』は美少年ポイントとあとレトロコンピューター描写が面白かったのでそっち方面が好きな人はおススメです。

それにしても変だったなぁ。

配給公式サイト

あらすじメモ(読み飛ばし可)

あらすじに意味があるかはわからないが、自身の中に残ったものを把握するには有用

アル中女の肖像

女が空港のカウンターでもらったチケットには印象的なフレーズが書かれていた。そのままベルリンにつく。女は搭乗口のカウンターで酒を飲み、学会旅行の千鳥格子の女三人の横を通り過ぎ、タクシーに乗る。おそらくそこで運転手の酒を飲む空想に浸り、タクシーは路上生活者の女とぶつかる。ドレスを着替えつつ、カジノで酒を飲み、バーで酒を飲み、グラスを掲げ落とし、カフェで酒を飲み、こびとにエスコートされて公園を歩き、グラスを机から落とし、棲家で新聞を読み、どこかで酒を飲み、路上生活者を拾い、ドレスを着せ、酒場で酒を飲み、バンギャのような女が歌い、酒を飲み、大量のパンが縫い付けられた服を着た男のパンを誰かが喰い、酒を飲み、船で酒を飲み、劇か何かの練習場で酒を飲み、もしかしたら綱渡りをしていたかもしれない、オーガニックな酒場で酒を飲み、とにかくどこかで酒を飲み、路上で酒を飲み、駅かどこかの階段でふらつく。おおよそそんな話だ。その間女は言葉をほとんど発していない。

道中、路上生活者が仲間?になり、千鳥格子の女三人組とはよく遭遇し三人同士でうんちくを話し合う。ドレスはクラウスノミの例の衣装チックにエナメルのような光沢で輪郭が広く、しかし優雅だった。グラスが頻繁に割れ、退屈しなかった。

女が酒を飲むだけの状況をただただ受け止める感覚が爽快で、かっこよかった。

フリーク・オルランド

旅人は荒野を歩く。女の木の乳房を飲んで門をくぐる。

神話がモチーフのショッピングモール。小人のコーナーで靴に焼き印をたたくお仕事をしていた。しかし、ゼウスと呼ばれるビジネスマンから小人ともども解雇されてしまう。小人を引き連れて歩く主人公。朽ちた住宅街のような場所や工業地帯を歩いていたような気がする。なぜなら私は上半身裸で黒いズボンの男たちが腕につけた鎖でお互いをたたきながら歩く状況しか覚えていないからだ。主人公は友人と合流し公園のような場所へ行く、みんなで野宿。小人たちを置いて友人と二人で旅立つ。すると噴水に入って祈りをささげる赤青黄のビニールのドレスの集団が。柱の上に立つ男の像が動き出し、後を継ぐように言われるも拒む主人公。先述の上半身裸の男たちが神輿を担いで登場。ドレスの男女たちに主人公は袋叩きにされ神輿にばらばらの状態で収納されてしまう。

神輿は工業地帯へ。廃工場のような場所に入ってから出てきたものは、顔が二つあるもの。赤青黄三色がパッチワークされた服を着た男女。貴族のような服を着た何か。巨大な砂場に彼らが歩き、水たまりをのぞき込んでいる姿を、上半身裸の男たちが笑う。

ショッピングモールに場面は移る。貼り付けにされてオペラチックな歌を歌う何か。オペラは長かった。そこに上半身裸の男たちが戻ってセールの服を買う。上半身裸ではなくなったので以降は神輿男衆とする。ところで主人公は、ショッピングモールからつながるワームホールに入ってしまった。その姿は失恋のショックで髭が生えていたかもしれないし、小人の書記を引き連れていたかもしれない。
神輿男衆は、病院のベッドをつなげたものを引き回し、アマゾネスや女装老人や、小人の集団を拉致していた。

主人公は精神病院を出所したことになっていた。サーカスか何かの一座に招かれる主人公。ビルの屋上で食事会。シャム双生児のような双子の片割れといちゃつく主人公。もう片方は面白くない。キャンピングカーの集団(個人的には拉致された病院のベッドをつなげたものと同じようなものに思える)の中で双子は喧嘩をする。捨て子の介抱をする主人公イラつき。投げナイフの練習を始める。戻っても喧嘩をしてしていたので刺し殺す。しかし、双子は両方死んでしまった。けじめなのか匿いなのか一座の長老は主人公をカーテンの中に隠すのであった。

主人公はバニーガールをコンパニオンに奇人変人ショーの司会をする。和やかに行われる奇人変人ショー。神輿男衆も参加(もう神輿はしていないが)。優勝したのは通りすがりのゼウスと呼ばれるサラリーマンであった。夜が明けて主人公は一人抜け出す。

最初の荒野に戻り、主人公は旅を続ける。

あとでパンフを観たらオルランドという頻繁に出で立ちを変えていた人が主人公の五本立ての話だったらしい。おそらく話のつなぎ目は不明瞭だったように思えるが、パンフレットの記述に準じて段落分けしてある。意味があるかは分からない。すでに時系列がこんがらがっているから。覚えていないシーンも多いし。

タブロイド紙が映したドリアン・グレイ

用水路を進んだ先にある秘密基地、そこでは新聞社の会議が行われていた。売上を伸ばすために一番偉そうな女が提案したのはお金持ちの青年を仕組んでスキャンダルを自家養殖することであった。
青年の生活はスパイで監視され、女は青年に取り入り屋外オペラや廃屋で行われる怪しいショーを誘う。岩場から浜辺のオペラをのぞき込む。新聞紙で敷き詰められた社交会。野ざらしのバスタブに入り込む政治家。なんかマッチョマンが殴り合ってた気がする。噴水で和食バイキングとか。青年はオペラの女優の虜になり出先で騒ぎを起こしてしまう。新聞は売れ、青年の生活は崩壊していった。しかし、それをよく思わない(まだジャーナリスト精神がある)関係者や女優は青年に真相を伝えるも殺されてしまう。復讐心に燃える青年は死んだと見せかけ、関係者全員をひき殺すのだった。

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