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2026.02.12
2025.10.18

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名山堀の喫茶店(及びショップ)スザクには通りがかりによく休む。

名山掘はアーケード群の隣のブロック、市役所や広場に囲まれた細かい路地のエリアである。年季の入ったコンクリートや木造の建物が並び、飲み屋の割合が多いらしい。ギャラリーにはよく行くが飲食はカレーやラーメンくらいしか行かないのでよくわからない。それの比較的トラム側、金物屋の看板から20秒ほど歩くとスザクに着く。昼間でも影が多く、差し込む日差しの量がやさしい。

引き戸を開けると、正面には小上がりが見える。その周りに古そうな雑貨が置かれている。古くからある商店のつくりを崩さずに運用しているようだ。よく見るとスーパーファミコンやシルバニアファミリー、7年くらい前のデュエマのカード等ごった煮である。そして、黒く精密なイラストとそれが書かれた衣類があるのが見える。デカダン氏(正式名称はdecadentisme M.A.x.x.x.x.;デカダンティスム エムエーという)のブースである。彼女はスザクの店員であり、気さくで明るい。そこの空間にある物体の要素を並べると崇高でとっつきにくい印象を持たれる気がするが、それを越えるほど親しみやすさが強い。会話をし、靴を脱ぎ小上がりから細い階段を上がる。

2階はカフェスペースであり、頻繁に作家の展示が行われている。低めのスツール等が置かれ、2部屋にかけて4人用の席が5組ある。壁には作品があるが、部屋の隅には昭和の日本家屋的なおしゃれインテリアが置かれている。物体の配置が絶妙である。遠目に見ているときにはスザクのイメージする空間が生成されている。一方、作品を注視しようとすると落ち着いた木目の壁が作品を引き立てることに専念する。結果、スザクらしいフロアでありながら、作家の世界観がのびのびと展開することを両立している。それは、怪しい館であったり、少女の居室であったり、まだ何も起こっていない小屋だったりもする。

現在、劇団「鳴かず飛ばず」の個展が行われている。先日の公演などの衣装や記録写真、演者が使っていた台本が展示されている。思いもよらない素材で作られた小道具、本格的な着物、早着替えのギミックがついた衣装など、在廊していた劇団員から様々な見どころを教えてもらった。公演の台本は、そこそこの物量があるので全部読むとしたら数日に分けて来る必要がある。在廊者のローテの関係か置かれている台本が変わっていたりするので、気を付けよう。ボリューム的には「あ、リトル・マーメイド」が短めで読みやすかったが、「戦略的未亡人みちるさん」がギャグ・謎・爽快感のバランスにキャッチーさがありオススメ。

初日は作品を観るために来ていたのだが、個人的な好みにもとても合致していたため、本を読むスペースとしても活用している。風景が適度に混沌としているのである。本から顔を上げたときに見えるハロウィンみたいな衣装、の向こうに見えるセーラー服。劇団の展示があるということを忘れた状態で目に入ってくると、何の空間なのか分からなくなって脳の刺激に良い。ベースとしては落ち着いた木造の部屋なので気が散ることも無い。冷房の効き方も様々で余裕があれば体感温度を調整できる。読み物(台本)も備え付けられているところも良い。くつろぐ場所としても想定外に展示が効果的に作用した。

普段もかなりオススメの場所ではあるが、今回の展示は以上のように良かったので公演を見たことがなくても一度会期中(9月1日まで)に足を運んでみてほしい。

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