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2026.02.12
2025.10.18

アイドルマスターシンデレラガールズ覚書:ヘレン編

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アイドルマスターシンデレラガールズの中で最もオススメできるキャラクターはヘレンである。彼女は本作の中で最も抽象的であり、きっと多くの人の心を打つ存在だろう。

アイドルマスターシンデレラガールズ というコンテンツがある。スマート端末のリズムゲーム(スターライトステージ)を軸に音源やグッズの販売、ライブなどが行われている。

ゲーム中のコンテンツの一つとしてキャラの立ち絵とテキストベースのテキストが読める、元が携帯電話ブラウザベースのソーシャルゲームだったこともあり、キャラクター(アイドル)の数が異様に多い点が特徴である。キャラクターの設定の層が厚く、それに応じて様々なストーリーがある一方、「アイドル」を頑張るというマインドは一貫している。ストーリーの着地点がネガティブになることはないので、日々元気づけられている。

ヘレンのストーリーのテーマは「到達」である。おそらくダンスの高み…もしくはダンスに収まらない何らかの世界レベルに至った人物の物語である。テキストベースの形式を活かして細かい描写を省略し、「とにかくすごいことが起こっている」という結果を表現する。

ヘレンがデレステのアイドルだけでなく、隠されし過去の対抗者、一般人、様々な人を圧倒する様はシリアスなのかシュールなのか分からない。けれども、人間たるものあれぐらいは出来なきゃならないんだろうなと、奮起させるものである。何がどうなっているのか分からないからこそ、あらゆる人を応援できる物語になっているだろう。

最近の更新では、ヘレンが主役のストーリーが追加された。それのテーマは、「到達」する、ヘレンであるとは具体的にどのような状態なのかが主に述べられている。記憶喪失になったヘレン(「私」)がヘレンであることを思い出すために奮闘する、というあらすじである。

ヘレンがヘレンであることを忘れたとき何が残り何が失われるのかが前半のフックである。記憶を失ってを尚、彼女はダンスバトル企画で優勝をするが、(かつての)ライバルからはヘレンでは無いと言われてしまう。

このことから分かるように、記憶喪失でも肉体的なスキルは残っている。忘れてしまったのは、自分自身を運用する目標である。作中で海鮮チャーハンから世界を想起するも、それを自分自身と結びつけることに失敗する。自分が何であるかを忘れることは、知覚が鈍りパフォーマンスも落ちる。

チャーハンが自分自身を思い出すきっかけになり得た点に荒唐無稽さを感じるかもしれないが、逆に自分自身に“世界”を持っているときには森羅万象から自分自身を抱くことが可能だということである。ヘレンがヘレンを失った状態とは、自分が動き、感じるためのルールを失った状態と言える。

そして、かつてのヘレンの旅路を追うことにしたヘレン一行。かつて行った荒行(?)を経てある程度取り戻すが更なるダンスバトルが始まる。

終盤クローズアップされるのは、自分がヘレンであると認識されること(及び自分自身をそう認識すること)である。ヘレンがヘレンであることを認められない(ヘレンコミュ限定の)登場人物もいれば、アイドル達はヘレンを失ったヘレン(「私」)もいた。

そんな中、ヘレンがヘレンを取り戻す決め手となったのはP(デレステにおける「あなた」)の存在である。自身の英雄譚を遮ってまで「合格」を言い渡したP。それは、ヘレンにとっては「ヘレン」 でありながらも「私」そのものを肯定された経験であった(そんなに感動的な話だったのか…)。

物語では「世界レベル」のヘレンも「世界レベル」を失った「私」も、ヘレンには必要という結論に至った。これは逆に「世界レベル」であるだけでは今のヘレンたり得ないということでもある。

諸君らも「世界レベル」と言わないまでも何らかの「世界」が見えたことがあると思う。一度世界が見えたらその視座を思い浮かべれば世界が見える自分に再度至りやすい。しかし、それだけが自分の全てでは無い。ヘレンであるということは社会的には称号であり、自分自身にとっては在り方や森羅万象を感じ取って動くためのソフトにすぎない。ハードウェアとしての自身とは切り離せないものだろう。

今回の物語では、「世界レベル」であるヘレンが「世界レベル」を失った「私」となり、様々な立場の登場人物が「私」を肯定したり否定したりする様が描かれた。そして、真なるヘレンのためには「私」と「世界レベル」両方を肯定することが必要であった。

ただ、「世界レベル」に再到達しなければならない理由や他人から評価される必要性については疑問が残る。この点については、同時公開された輿水幸子の物語で論じられているので、気が向けば説明したい。

どちらも現状は今の自分のルールから別の自分になる選択はあるものの、今の自分を高める道を歩んでいる。

今までもヘレンのストーリーから元気を得ていた。今回、実際に世界と自分自身の関係を考えるエピソードを経て、より世界に対する認識が深まりとても有意義だったと思う。

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